3人の医者
「全国労保連」2008年7月号掲載
私には3人の医者がいる。1人は私自身である。体調のいいときと比べて、今日はだるいとか、頭が重いとか、また寒気がするなど、日々の暮らしの中で実感することが多い。そんなときどうするのか。かぜっぽいからかぜ薬を飲んでおこう、睡眠不足だから今夜は早めに寝ようなどと、自分で対処し調子を取り戻す。つまり自分の身体の状態を一番よくわかるのは自分自身。従って体調がよくないときの対応を素早く、的確にできるので、私にとって一番大事な医者は、自分自身ということになる。
次に大事なのは、自分のことをよく知ってくれている家族や友人・知人。自分では気がつかなくても、周りにいる友人の一言で、体調が優れないことを知ることだって多い。「今日、あなたやけに無口ねえ」と言われ、そう言えば朝からだるかったなぁなどと気がつき、適切な対処をすることができる。
そして最後に控えるのが、本当のお医者さんである。いくら自分で対処すると言っても限界がある。専門家の力を借りなければならないことだってたくさんある。4回の手術経験のある私は、気軽に相談でき適切な処置をとってくれる医者の有り難さを、身をもって感じている。
こうした3人の医者と道づれで、これまで私は自分の健康管理をしてきた。
年に1回は人間ドックを受けているが、昨年末の検査で、骨密度が相当不足していることがわかった。骨密度は、同年齢の平均値とくらべるのではなく、若年成人の平均値に対する%で、比較するという。私の場合は70%だった。日ごろ、ほとんど車に頼る生活をしているので骨密度の低下を常に心配していたが、今回の結果はあまりに低く、がく然とした。70%というのは治療の対象になる数字と聞いたことがあるからである。人間ドックでは結果だけを示され、何らかの対策をとるべきという指示もなかったが、ここで、私自身という医者がしゃしゃり出てきたのである。早速、骨粗しょう症専門外来へ。
これまではレントゲンはいつも、手で撮っていたが、専門外来では腰で撮った。医者に、どこか痛むかとか、何か自覚症状はあるかなどと聞かれたが、私には何の症状もなかった。ただ人間ドックの結果が、骨密度70%だったので心配になって受診したと話した。結果は、骨密度80%。「今のところ治療の必要はありませんね。今度は来年来てください」で、おしまい。「機械によっていろいろ違うんですよ。手で撮る場合、腰で撮る場合、それぞれ差が出てしまうことがあって」と、医者は事も無げに言う。信頼度のない検査など、お金の無駄遣い。受診者をやたら混乱に陥れるだけである。信頼できる医療機器という4人目の医者を、早急に開発してほしい。