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村田編集長のコラム集
2008年3月3日

「友」は財産

「全国労保連」2008年1月号掲載

 「将来、気の合った者同士で一緒に暮せたら楽しいわねえ」という友人との何気ない会話からスタートした夢が、何と今年、実現するのである。
 1年前のこのページに私は「夢、かなえたい」というタイトルで、働き続けてきた仲間同士ともに暮らし、元気でいられる限り何か地域に還元できる活動をしたいと、土地探しをしていることを書いた。しかし数年続いた土地探しは難航し今後、予算の範囲内で望む家を建てることはどう考えても実現不可能。昨年末をもって白紙に戻そうと、後ろ髪引かれる思いを残しながらも、私たちは結論を出したのである。その直後、仲間の1人がマンションを見つけてきた。全戸南向き、駅近、土地は定期借地。我々が望むことすべてがそろっている。それぞれが実際に足を運び、本当にそこに入居したいかどうか、自分の心に問うた。
 全員一致。ここがいい。
 我々だけで暮らすより、見知らぬ人の声が聞こえ目もある方が、暮しそのものが息苦しくならないだろう、またそれぞれの懐具合に見合った部屋を選べるのもメリットと、考えが一致した。「キャリア姉さんズ」の決断は早い。好みの部屋を選び、申し込みをし、あれよあれよという間に決まってしまったのである。こんなもんなんですねえ、決まる時って。
 長年仕事をしてきた我々は、適度な距離をおいてつきあうすべを身につけている。またそれぞれの分野で培った力を集めれば、結構ユニークなことができるかもしれない。高齢期を元気で過ごし、地域で何か活動したいという夢の基盤は、近居という形で整った。さあ、何をするか、次の夢を実現するために向かってスタートするのは、8月末。早めの引っ越しである。
 「赤電話友は何人いてもよい」。これは大阪で活躍している川柳作家森中恵美子さんの句である。ふと人恋しくなった時、アドレス帳をめくりこの人に連絡しようかな、いや今日はこの人の方がいいかなと、その時の気分でいろいろ選べる友人たちがいたら、老いても幸福だろうなという気持ちを詠んだものと思う。私の人生に老後のことなどまったく視野に入っていなかったころに知った句であるが、なぜか心に残っていた。人生における友の存在についてきちんと考えるきっかけを与えてもらったと思う。
 気が合うとはいえ、ここに至るまでにはう余曲折があった。しかしその時々の議論とかっとうがまた、一人一人の気持を整理することにつながり、不安のない決断に結びついたのだと実感している。お互いの理解は深まり、いざこざも乗り越えられる自信がついた。友は私の最大の財産であり、安全保障でもある。

全国労保連 2008年1月号掲載(社団法人 全国労働保険事務組合連合会 発行)

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