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往復書簡

評論家 俵 萠子 さん

俵萠子さま

1週間、箱根で過ごしてきました。本来、一番賑わうはずのお盆の期間、雨で閉じ込められ、町の賑わいはほとんどありませんでした。いつも混んでいるレストランも閑散としていて、店員さんは手持ち無沙汰。夏場が稼ぎ時のお商売にとっては、ホントに悲惨な夏となりましたね。
朝昼晩の温泉三昧で、少々ふやけ気味。おかげで身体中の血の巡りがよくなったみたいです。
そして改めて「1・2の3」と思い切らないと温泉に入る勇気が出ない乳ガン患者の暮らしに、思いを馳せました。私の廻りにも乳ガンを手術した人が何人かいるのですが「温泉には縁がなくなったわ」と言っています。「そんなこと気にしないで」と簡単に言いがちですが、体験記を拝見するとどれほどの葛藤がおありになったかがよくわかり「1・2の3で温泉に入る会」が、多くの方々の喜びと生きる意欲に繋がっていることを感じます。俵さんにとっては、相談やら悩みの聞き役やらと、思い荷物を背負った面もあるかもしれませんが、この活動がさらに広がり患者の支えとして根付く事を応援しています。
1週間、何もしないで過ごすと後のツケが大きいですね。今週は仕事三昧で悲惨になりそう。ふやけた身体が引き締まるかも。

村田幸子 2003年8月18日

村田幸子さま。

お帰りなさい。なんだか、いつもあなたには「お帰りなさい」といってるみたい。
今度は、箱根で温泉三昧だったそうで、うらやましいお盆休みでしたね。それにひきかえ、私のお盆は最低。まず美術館のほうは、雨でお客が少なくて、がっかり。私は書き下ろしの本の執筆に専念していました。
何度書いても、書き下ろしの本はしんどい。最近は高齢者が多いので、活字を大きくしますので、昔のように400字詰め原稿用紙に300枚なんて書きません。1冊の本に250枚位しかはいらないのですが、でも、250枚書くのは容易なことではない。寝ては考え、起きては書き、いき詰まると、髪の毛をかきむしります。
でもそれだけに書き上がった時はうれしい。今月いっぱいに書き上げる予定です。題名はもう決まっています。
  「60代の幸福」
私自身の60代を総括する本です。どうぞ、お楽しみに。

俵 萠子 2003年8月20日

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